県大会3位の高校生に皇后杯ベスト8入りさせたある力
なぜ県大会3位の高校生が皇后杯ベスト8に入れたのか
先日更新した、「心・技・体」についてのブログで
もうひとつ重要だと考えているものがあると最後に書きました。
その説明をするにあたり、私の高校時代のエピソードを紹介したいと思います。
―――県大会個人戦3位。
インターハイ1回戦負け。
私の高校3年時の記録です。
そんな、県で3位、高校の全国大会でも初戦で負けた高校生が
皇后杯(社会人も含む最高峰の全国大会)でベスト8入りしました。
同年度にベスト8入りしたチームは、実業団のエリート選手、大学トップ選手、インターハイ個人優勝チームと
ふつうに考えたらありえない結果でした。
そもそも、高校生が皇后杯でベスト8に入ることは、過去の歴史をみてもそうそうあることでないと思います。
近年で言えば、2017年度林田・宮下ペアが高校生ペアで優勝を飾りましたが、(すごすぎる)
その前の高校生のベスト8入りは、2012年の若田・中田ペア(当時:中村学園高/ベスト4)までさかのぼります。
そう考えると、まぐれだろ、、ラッキーだったね、、と思うかもしれません。
しかし、全日本選手権の「9ゲーム」と「ある力」が重なって
奇跡ではない、必然の勝利が生まれました。
「9ゲーム」と「ある力」
ソフトテニスの試合は7ゲームマッチ(4ゲーム先取)で行われることが多く、
高校生が9ゲームマッチ(5ゲーム先取)で試合をすることは
ほとんどないのではないでしょうか。
7ゲームマッチ。あっというまです。だからこそ、ジャイアントキリング(番狂わせ)が
起きやすくもある。
しかしなぜ、9ゲームが必然の勝利を呼んだのか。
私たちは、公立進学校に通っていました。
勉強優先。部活の時間は限られている。自分たちのコートもない。
そんな中で、毎日練習が終わってから、ペアと一緒に
自主的にフィジカルトレーニングとあることをやっていました。
それが、「タクティクス」のトレーニングです。
「タクティクス(tactics)」には、【戦術・策略・かけひき】
といった意味があります。
当時の監督からは、
「スキル」「フィジカル」「メンタル」「タクティクス」
この全ての課題と目標を明確にしてアプローチするよう言われていました。
わたしは、この中でもっとも”生まれ持ったもの”に左右されないものが
「タクティクス」だと思っています。
タクティクスのトレーニングは、その言葉の通り、
ひたすら戦術やかけひきの勉強、相手の研究、分析をします。
ビデオを見ながら、スコア(+どんなプレイだったか)をつけて、
プレイヤー1人の動き、4人を絡めた動きを見ていきます。
当時はYouTubeなどぜんぜん普及してなかったので、
監督がわざわざ大学や一般の試合に出向き、
撮ってきて下さったビデオが教材です。
今思えば、当時にあれだけ上のレベルの試合のビデオを見れたことは、
本当にありがたいことだったんだなと感じます。
毎日積み重ねた「タクティクス」のトレーニング。
私たちは技術やフィジカルに特別光ったものはありませんでしたが、
武器となったのは、「タクティクス力」でした。
その力が一番活かせるのが、「9ゲーム」の試合だと思っています。
より試合が長ければ、相手の特徴をつかめる。そこから戦術や戦略を組める。
「9ゲーム」×「タクティクス力」
が私たちの勝利を生んだのでした。
ベスト8入りするまでの対戦相手は、大学生や実業団選手。
知らない相手に対しては、前半で特徴をつかみ、
ゲームカウントは競っても勝つことができました。
実は、対戦した実業団選手はたまたま、
何度も何度もビデオをみて研究していた選手でした。
(対戦相手としてではなく、ただ強くて憧れの選手だったから参考にするため)
試合の入りにどういうプレーをしてくるのか。
一番得意なプレーはなんなのか。
苦手なプレーはなんなのか。
すべて頭にはいっていたので、どこにボールが来るのかがわかり、
二人で立てた戦略がぴったりはまりました。
「心・技・体」に加えて、タクティクスや分析
わかっていても取れないボールもありますが、
なぜか必ず自分の打つコースに入られている、
ポーチに出てもかわされる、
となったら、100%の力を出すことは難しいと思います。
自分たちも、何もわからない相手と対戦するよりは、
特徴をつかめるとずっと落ち着いて自分のプレーができます。
ふつうは追いつけないボールも、予測して追いつけます。
心の部分や体の部分をカバーする効果もあったと思っています。
こんな経験から、私は「心・技・体」に加えて、タクティクスや分析というものが
とても重要だと考えています。(もちろんメンタルトレーニングやフィジカルトレーニングもしていましたよ!)
実業団でプレーしている時も常に意識していました。
なぜ、この記事を書こうと思ったかというと、
先に記した通り、もっとも”生まれ持ったもの”に左右されないものが
「タクティクス」だと思っているからです。
勝ちたいけど、、
・センスがない
・指導者がいない
・練習以外に自分を伸ばせるところはないの?
と思っている方に、タクティクスや分析の力でも勝利をより近づけることもできるのだ
と、お伝えしたいです。
実際私は、一つ一つのプレーを見ても、特に光ったものはない選手でしたし、それが悩みでもありました。
時代やルールの変化とともに
そのうち禁止されるかもしれませんが、
いまは安易にトップ選手や幅広い試合の動画を見ることができる時代。
格上と思っている相手にも勝つチャンスがより多く転がっているのではないでしょうか。
また、大会のドロー(組み合わせ)の発表は、
私が現役のころは、ほぼ試合当日朝、早くても会場練習の日でした。
ソフトテニス連盟の2019年度事業計画では
組み合わせ事前公開対象大会の拡大、継続実施について書かれています。
事前に対戦する相手がわかれば、より対策や戦略を立てやすくなりますよね。
時代やルールの変化とともに、
「タクティクス力」
がもっと注目されてもよいのではないかと思います。
他のスポーツではすでに多く取り入れられており、分析専門の、スポーツアナリストと呼ばれる方もたくさんいます。
その競技のトップ選手に限らず、高校生や中学生、小学生にまでそういった力をつけさせるための指導をすることも増えてきているように感じます。
長くなってしまったので終わりますが、これからソフトテニスでもタクティクス力の向上や、データを使った分析などが増えていけばよいなと考えております。
*先日日本リーグで行った、スタッツ出しのお仕事依頼とか、お待ちしてます。笑
次は具体的にどんなことをしていたか、考えていたかについても書けたらなと思います!
ここまでよんでいただきありがとうございました!
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